科学者の芽 育成プログラム2008-2019
主催:埼玉大学 大学院理工学研究科 後援:埼玉県教育委員会/さいたま市教育委員会
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センサーについて質問です。
ジャーナル
2009年11月11日(水曜日)

[ステップ1]土曜ジュニアセミナー 第7回 「高校生になってまなぶこと。体験実験:センサーにさわってみよう」」(11/7開催、岸沢真一先生)の講義内容と関連して、参加者の方から質問がありました。先生からの回答と合わせて公開いたします。

 なお、この講義を受講された方は、ログイン後のマイページに表示される「会議室」からも同じ内容を見ることができます。「会議室」では自由にコメントを投稿できますので、今回の質問と回答についての感想や、新しい質問・疑問がありましたらぜひ投稿してください。

質問—————————–
受信日時:2009/11/08 17:23
タイトル:センサーについて
質問内容:センサーは、実際にどこでどのようにして使われているのですか。

回答—————————–
送信日時: 2009/11/10 3:34 PM
回答者:井上直也

こんにちは、埼玉大学理学部物理学科の井上です。11/7には私も岸沢先生のお手伝いをする予定だったのですが、、、いまアメリカのユタ州のソルトレークシティの南南西150kmくらいかな、デルタという町があるのですが、(ここまでウエブの地図で追ってみてくれます?)そこで宇宙からやってくる超高エネルギー宇宙線の実験(テレスコープアレイ望遠鏡)を行っているところです。私のところの学生2名が参加しています。さて、センサーについてですが、ちょうどいいのでこの宇宙線実験とからめてお話しすると、何種類ものセンサーが実験で用いられています。気圧・温度のセンサーは望遠鏡観測装置の性能に関わるので、あとで、実験データを解析するときに測定しておいた気圧や温度のデータを用いて解析データを修正してやる必要があり必須なのです。宇宙線の観測は雨が降るとできないので、観測途中で雨が降り出したどうかを察知する液体(雨量)センサーが必要です。また、望遠鏡ドームを開け閉めするのですが、そのシャッターがちゃんと開いたか、しまったかを判定するためにシャッターにメカニカルセンサー(これは単純にスイッチのようなものですが)がついています。また、晴天時に観測をするのですが、雲があると実験データの精度が悪くなるので、夜間でも雲を調べています。雲があるときはその雲の温度が雲がないときの空気の温度に比べて高いので、赤外線センサーを用いた特殊なカメラで空を撮影して空気の温度により雲の存在や広がりを知ります。夜の観測なので、月の光や登り始める前の太陽の光で、空が薄明るくなってくると観測装置に影響が出るため、実験をやめないといけません。月出や日の出の時刻は前もって調べられますが、実験では光センサーを用いて、それらの光が影響が出てくるところで察知して観測装置の電源を落とすこともしています。さいごに、この望遠鏡で観測するものを説明します。宇宙からやってきた宇宙線が大気に入ると多くの子供の粒子を作ります(空気シャワー)。ここから目に見えない紫外線領域の光を発します(大気蛍光)。望遠鏡でそれを観測するのですが、ここで微弱光を電気的なパルスに変換するセンサー(光電子増倍管)を使います。目に見えない波長の微弱な光を感知するセンサーで、この実験の中核であり約6000本のセンサーが活躍しいています。
いくつセンサーが出てきましたかね。すこし難しいかしら。もし興味があれば「テレスコープアレイ実験」で検索して調べてみてください。たぶんご質問はもっと身近なところでのセンサーの利用についてだったかもしれませんね。あえて、それから外れたお話をしてしまいました。再質問歓迎です。これくらいで。。。。

[ステップ1]親子で科学 第2回 「水を吸う高分子」 もうひとつ質問です。
ジャーナル
2009年11月10日(火曜日)

[ステップ1] 親子で科学 第2回 「水を吸う高分子」(10/31開催、廣瀬卓司先生)の講義内容と関連して、参加者の方から質問がありました。先生からの回答と合わせて公開いたします。

 なお、この講義を受講された方は、ログイン後のマイページに表示される「会議室」からも同じ内容を見ることができます。「会議室」では自由にコメントを投稿できますので、今回の質問と回答についての感想や、新しい質問・疑問がありましたらぜひ投稿してください。

質問—————————–
受信日時:2009/11/08 10:51
タイトル:プラスチックについて
質問内容:ペットボトルをリサイクルすると洋服になると聞いたのですが、生分解性プラスチックでも同じことは起こるのですか。また、洗濯してもとけませんか。

回答—————————–
送信日時:2009/11/10
回答者:廣瀬卓司

広く高分子に関心を持ってくれてうれしいです。これからもいろいろな科学に興味を持って下さい。
さて、ペットボトルに使われている高分子(プラスチック)は、ポリエステルと呼ばれ、以前から衣類に使われていました。
それではなぜわざわざ「ペットボトルをリサイクルすると洋服になる」と言われるのか、疑問がわきます。それは、ペットボトルには最も上質の高分子が使われるからです。普通、ペットボトルには飲料水など食べ物を入れるので、衛生上もきれいなものでなければなりません。そのため、現在はリサイクルしたペットボトルをもう一度ペットボトルとして使わないことになっています。しかし、服にするときにはそこまで衛生面に注意を払う必要はないので、ペットボトルを融かして、糸にして、洋服を作ることができます。当然、省資源になります。
高分子は単位となる分子が数多く(場合によってですが数百から数万個が)鎖のようにつながっているものです。リサイクルするときに高温で融かしたりすると、高分子の分子そのものが変化して鎖が途中で切れたりして、材料としての性能が悪い分子に変わってしまうことがあります。こうなると、材質が引っ張りに弱かったりすることもあり、柔らかいプラスチックとしてしか使えません。
生分解プラスチックで洋服は作られていますが、飲料用のボトルにはまだ使われていないと思います。それは、多くの生分解性プラスチックは柔らかいからです。ですから、最初は洋服でも下着やTシャツ、女性のドレスなどに使われました。それでも、洗濯で簡単に溶けたり、分解したりしないような工夫がされています。(熱には弱いために、アイロンなどをかけるときには注意が必要だそうです。)最近では、パソコンなどの電子機器にも生分解性プラスチックが使われるようになっています。しかし、いろいろな工夫をこらした高分子を飲料用のボトルには使用できません。
生分解性プラスチックはその製品が自然界に捨てられたときに、土中や水中の微生物が分解できることが第一の条件です。ですから、今のところリサイクルすることは予定されていません。微生物がつくってくれたプラスチックを、微生物が分解してくれれば資源がなくなることはない、と考えられているからです。また、生分解性プラスチックで作られた製品がまだ多くないこともリサイクルされない理由になります。ペットボトルのように大量に、同じような品質の製品をリサイクルしないと効率的でなく、リサイクルした製品が非常に高価になってしまうからです。
                            (廣瀬卓司)
                          

回答者:永澤 明

(補足)「とける」には2つある?

ご質問で「とけませんか」となっている「とける」ですが、回答では漢字を使いました。2種類の「とける」があります。辞書を引くと「融ける」と「溶ける」で、同じように使っていますが…
「融ける」は難しくは「融解(ゆうかい)する」で、英語ではmeltまたはfuseです。固体を液体にすることで、温度を上げると起こります。その境目の温度が「融点(ゆうてん)」です。氷の融点は0℃です。
「溶ける」は難しくは「溶解(ようかい)する」で、英語ではdissolveです。固体や液体や気体が液体に加わり、それが見えなくなるまで完全に混ぜ合わさることです。こうしてできた液体が「溶液(ようえき)」です。例えば,食塩を水に溶かした溶液が食塩水です。どのくらいの量までその物質がその液体に溶けるかを「溶解度(ようかいど)」といいます。固体はふつう温度を上げると溶解度が大きく、気体はふつう温度を下げると溶解度が小さくなります。溶解度については、2009年8月1日の「ステップ1体験 一日大学生」でも実験しました。
そうすると、製鉄所にある「溶鉱炉」は字が違うのではないでしょうか。確かにそのように思えます。昔は「熔鉱炉」と書いて、これは融かすという意味でした。しかし、「溶」には混ぜ合わせるという意味も含まれているので,粉などの固形物を高温で融かして一体にすることを「溶融(ようゆう)」と言います。その意味では問題ないのかも知れません。
なお、「梳ける」は髪が櫛(くし)などでそろえられること、「解ける」は問題に答えが出されることです。ですから、質問に答えることは「回答」、問題を解いた答えは「解答」です。こうしてみると「とける」には4つありましたね。皆さんももっと探してみてください。                        (永澤 明)

[ステップ1,2]講座終了報告
ジャーナル
2009年11月07日(土曜日)

2009年11月7日開催のプログラムは、無事終了いたしました。

[ステップ1] 土曜ジュニアセミナー 第7回
  「高校生になってまなぶこと。体験実験:センサーにさわってみよう」
 物理 岸沢真一先生
  (参加者 19名)

 高校で実際に行われている実験の中から、音、光、熱、放射線を測定するセンサーをみて,実際に動作させ、その仕組みを学びました。所沢北高校の高校生にTAとして指導を手伝っていただきました。
 前回に引き続き、新型インフルエンザの影響などにより、残念ながら欠席された方が多くいらっしゃいました。今日の講座で使用した教材は、「教材ダウンロード」からダウンロードすることができますので、ぜひご覧ください(準備中です)。
                                                                                                [ステップ2] 土曜ジュニアセミナー 第7回 「光で物質の量を測ってみよう」
 化学 齊藤伸吾先生
  (参加者 4名)

 物質から出る光で化学物質(イオン)があるかどうかを目で見て,その量を測る実験をしました。

 地学は、先生のご都合により10/31に変更になりました。

 
多くの皆様のご参加ありがとうございました。

[ステップ1]親子で科学 第2回 「水を吸う高分子」についての質問です。
ジャーナル
2009年11月07日(土曜日)

 [ステップ1] 親子で科学 第2回 「水を吸う高分子」(10/31開催、廣瀬卓司先生)の講義内容について、参加者の方から質問がありました。先生からの回答と合わせて公開いたします。

 なお、この講義を受講された方は、ログイン後のマイページに表示される「会議室」からも同じ内容を見ることができます。「会議室」では自由にコメントを投稿できますので、今回の質問と回答についての感想や、新しい質問・疑問がありましたらぜひ投稿してください。

質問—————————–
受信日時:2009/11/02 15:08
タイトル:保冷剤について

質問内容:保冷剤をみたら、「高吸水性樹脂・植物抽出物」とありました。高吸水性樹脂とは学習してきた高分子吸水材と同じものですか?
また、「内容物に植物抽出物を使用しているので、消臭剤としてもお使いいただけます」と書いてありました。高吸水性樹脂には消臭効果はないのですか?

お答え—————————–
送信日時:2009/11/07 13:06
回答者:廣瀬卓司

質問を送ってくれてありがとう。身の回りの科学、化学製品に興味を持ってくれてうれしく思います。

さて、質問の保冷剤に使われている「高吸水性樹脂」は、今回の「親子で科学」でお話した「高分子吸収材」と同じものだと思います。成分も同じ「ポリアクリル酸ナトリウム」が使われていることが多いと思います。最近、同じ材料を使った、電子レンジで温めて「湯たんぽ」のかわりにする製品が発売されています。どちらも水を吸収させた「高分子吸収材」が「温めにくく冷めにくい(比熱が大きい)」水を多く含んでいることを利用したものです。

「高分子吸収材」は水を吸収するだけで、消臭効果はありません。もちろん、高分子吸収材がおむつのように使われていれば、水にとける臭いの成分は一緒に吸収されて、臭いは薄くなります。しかし、普通の保冷剤はプラスチックの容器や袋の中に入っていると思いますので、その点でも消臭機能はないと思います。

ですから、あなたが見た保冷剤がどんなものか興味があります。時間があったら製品を教えて下さい。私達の方でも調べてみたいと思います。

                           (廣瀬卓司)

回答者:永澤 明

「消臭」とは何か?について補足します。

鼻の内部の粘膜にある臭いの感覚器官に、何らかの気体(ガス)が付くと「臭い」として感じます。だから原因になる気体を取り除くか薄くする(「濃度を下げる」と言います)ことで臭いがなくなる。それにはどういう方法があるでしょうか。

その気体を吸収する→ 水などに溶かしてしまう。 
(例)アンモニアを水に溶かす。

その気体を吸着する→ 固体や粉などに臭いの原因となる気体を吸い付けてしまう。
(例)活性炭で臭いをとる。

その気体を包接する→ 高分子吸収剤のように分子のすきまに取り込むことをこう言います。
(例)冷蔵庫でつくった氷から、魚や肉や野菜の臭いがする。魚や肉からの「アミン」や、野菜からの「アルデヒド」などの気体が、氷の水分子の隙間に閉じ込められていて、氷を溶かすと出てくるのです。

その気体を化学変化させる→ 化学反応により別の物質に変えてしまう。
(例)放電でできるオゾンなどで脱臭するのは、臭いの気体を酸素と結びつけて別の物質にしてしまうからです。酸化という反応です。

もちろん、「風でふき飛ばす」方法や、「いやな臭いを感じなくする」ためのひとつとして「別の臭いを発生させてごまかす」という方法もありますが,これを消臭と呼ぶかどうか。

この「別の臭いを発生させてごまかす」という製品もあります。最近は少なくなったかもしれませんが。しかし、もともと香水はそのような目的でつくられたものです。何日も風呂に入らなかった昔のフランスなどの貴族の人々が体の臭いを隠すためにつくったものだそうです。

この大学には、卒業後香料会社に勤めたりする人もいます。香水のことをよくご存じの先生もいるので、いつかこの講座で話していただきましょう。

                      (永澤 明)

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